文化財・博物館機関、大学、無形文化遺産工房の専門家が、古建築の修繕と文物修復における天然漆の応用をめぐって意見を交わし、若手の漆塗り技芸人材の育成強化を呼びかけた。
討議テーマ
- 古建築の木造部材、彩色画、漆木器の修復における天然漆の材料適性;
- 伝統の漆塗り工芸と現代の文化財保護の理念をつなぐ道筋;
- 生漆原料の品質安定性が修復効果に与える影響;
- 若手の漆塗り技芸人材の育成と産学連携の仕組み。
分野横断がなぜ重要か
天然漆は現代の制作材料であると同時に、千年続く修繕材料でもある。文化財修復は材料の天然性、可逆性、耐久性に極めて高い水準を求めるため、そこに天然漆ならではの価値が生まれる。逆に、修復実践における材料研究は、現代の漆器制作や精製漆の工程改善に還元できる。
人材が最大の共通認識
参加した専門家のあいだでは、業界の発展を制約する核心要因は原料から人材へ移ったとの認識が広く共有された。伝統技芸を理解し、現代の材料とデザインも分かる複合型人材が大きく不足している。シンポジウムは、院校、文化財・博物館機関、無形文化遺産工房のあいだに人材の共同育成ルートを築くよう呼びかけた。